新年ＳＳ

明けましておめでとうございます。
こんな地味～なサイトへの来訪、ありがとうございます。
いつの間にかカウンターも４０００越えました　ヽ(´ー｀)ノ
面白みも萌も中途半端ですが、今年もぽちぽちやっていきます。
どうぞよろしくお願いします。


今年は実生活があわただしくなりそうだけど、
書きたい風景をつかまえて文章にしたい。
と、とりあえず、抱負みたいなものをメモ。

新年ＳＳ。
相変わらず即席。
ぬるーくアホしてます。

私の人形はよい人形

目はパッチリと　愛らしい…

 

「それ、何て歌？」

「『人形の歌』。これ歌いながら顔を作ると可愛くなるような気がするんです」

「いい歳してネズミの人形かよ」

「私のじゃありません。お向かいの女の子のお誕生日プレゼントです。
かわいいでしょ？男の子なんです。ちゃんとつりズボン」

 

誇らしげに差し出されたぬいぐるみは、
顔は白ネズミだが、首から下はしっかり人間の少年仕様だ。
冬だからかしっかりハイネックのセーター（これも手製らしい）を着ていて、
サスペンダーのついたズボンをはいている。どちらも着せ替えができるようだ。
その器用さに感心してしまう。

 

「これ、マーチスに似てるな。あいついつもハイネックだし」

「うーん。確かにそうかも。でもね、似せたつもりはないんですよ。
モデルはその子のお気に入りの絵本に出てくるネズミ君なんです」

 

作業の終わりを見届けると、オレルドはステッキンの手からネズミを取り上げ、
手足を持ってテーブルの上に立たせた。

 

もう、仕方ないなぁ、オレルドは。

伍長、心配ないよ。ボクが手伝ったげる。

 

嘘をつくのは3課一だが、オレルドの芝居はひどい。

あまりの下手っぷりに、ステッキンは笑わずにはいられない。

 

 

えぇっ、それは開発部の仕事でしょ？

 

「…そういえばマーチスさん、開発部の人たちによく呼び出されてますよね」

「開発部」という言葉で思い出したようにステッキンがふともらす。

「猫に鈴つけられるのが、あいつだけだからな」

「開発部に猫がいるんですか？」

「あぁ。でっかくて引掻かれたらたまんねぇようなヤツがいるんだよ。
それがさ、アイツに掛かると大人しくなるんだぜ。ま、無傷じゃいられねぇけどな」

「マーチスさん、すごいんだ。猛獣使い」

「あぁ、たいしたもんだね。俺だったら絶対あんなのゴメンだ」

 

 

そうか、マーチスさんは猛獣使いなんだ、とつぶやきながら台所に消えたステッキンは、
猫柄のなべつかみを手にして戻ってきた。
手の甲の部分が猫の顔になっている彼女のお気に入りだ。
右手にネズミ、左手に猫をつけると、たちまちステッキンの人形劇が始まった。

 

「ホーラ、猫ちゃん大人しくしな。でないとボクの前歯がキミの耳をかじっちゃうぜ」

「へへ、やれるものならやってみな」

 

「よぉ、ネズミ。やせてるけど、うまそうだな。一息に食べちまうぞ！」

「そうはさせないよ。猫ちゃん。ボクのこの手は魔法の手だからね。
キミなんかイチコロだよ。必殺・喉ゴロゴロ」「ニャー、参ったぁ」

「ほーらいい子だ…」

 

「ちょっと待て、ステッキン！」

「大きい声出さないでくださいよ！今、いいところなんだから」

「お前、開発部が猫飼ってると思ってるだろ」

「違うんですか」

「軍で猫が飼えるかよ。バカ。
開発部にいるでっかくて、連中じゃ歯が立たないのってなんだ？」

「あ…」

 

 

気まずい沈黙が流れる。

 

 

「あんま調子乗ると、シャレにならねぇぞ」

オレルドは真っ赤な顔をしたステッキンの頭を、ぐしゃっとつかんだ。

テーブルの上では、ネズミが猫の上に乗っかっていた。



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マーチスいじってる中尉は、おもちゃ手にした子どもみたいであってほしい。
彼女はキツネというよりも猫のイメージ。
ステッキンは人形劇が上手そう。
リリ　ステッキンのパペットシアター・ｗ