忍者ブログ
独り言置き場を兼ねた『パ/ン/プ/キ/ン/シ/ザ/ー/ズ』の個人的ファンサイトです。二次創作がありますので悪しからず。
Posted by - 2025.07.21,Mon
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Posted by haruha(ハルハ) - 2008.01.27,Sun
女子の皆様、ラブの季節ですわよ~

書店バイト時代一番心に残っているポップのキャッチ。
今年はホットチョコレートが新しいようで。知らんかった。


早いんですが、街歩いてると節分かチョコですからね。
まぁいいでしょう。

刻んで、溶かす。牛乳を入れる。
 
刻むというのがどういうことなのかわからないが、溶けやすいように小さくすればよいのだろう。手を切らぬよう慎重に扱おうとすると、塊はどんどん手の中でやわらかくなる。全然思うようにならない。
 
 
刻んで、溶かす。牛乳を入れる。
 
先日、珍しくステッキンと休憩時間に二人きりになった時に彼女が出してくれた飲み物が美味しかったので、再現しようとしている。チョコレートは固形のものだとばかり思っていたが、まさか飲み物があるとは。何気なく作り方をたずねると、ステッキンはいぶかしむ風でもなく手順を教えてくれた。
 
 
刻んで、溶かす。牛乳を入れる。
 
なにも就業時間をとっくに過ぎた職場のストーブでやることではないのだが、家の調理場を使うとなると、間違いなく調理人をはじめとすると使用人たちが手伝おうと大騒ぎする。彼らの時間を私の「個人的な」作業につき合わせたくないし、姉上達の耳に入るのもできれば避けたい。あくまで「私的な」作業だから。
 
軍の購買部で買った板状のチョコレートをどうに小さくしたときには、軽く汗ばんでいた。外は雪がちらつこうとしているのに。さて、これを溶かす。鍋に入れて火にかけるのだろう。多分。なにしろ握っただけで柔らかくなっていたのだから。
 
刻んで、溶かす。牛乳を入れる。
 
鍋をストーブの上に据えると、すっかりおきになっていたストーブに火を入れる。ゆっくりと炎が立ち上がって、それと同時にチョコレートの甘い香りが部屋を漂う。成功したではないか。これで牛乳を入れれば、完成だ。今回はずいぶんと難儀したが、次は難なく作れるだろう。日頃女らしくないとエリス姉上から非難されている私にだってできるのだ。次第に高くなる甘い香りに気をよくしていると、不意に背後から黒い大きな影がかぶさった。とっさに腰元の継承器に手をかけると、今、一番聞きたくないくぐもった声が上から降ってきた。
 
 
「こんな遅くまで、どうしたんですか?」

「伍長か……。驚かすな!まったく、けしからん」
「すみません。なんか焦げ臭いので、俺ストーブ消し忘れたかと思って」

「あっ」
 
振り返ると鍋からかすかに焦げるにおいがする。あわてる私をよそに伍長はさっと鍋をストーブから取り上げた。
 
「消し忘れじゃなくてよかった。鍋をかけてたんですね?」
 
私はむっすりと首を縦に振る。こちらの本意を伍長が知っているかどうかは別にして、練習している姿を見られてしまうのは面白くない。
 
「チョコレートなんか焦がしてどうするつもりだったんです?」
伍長は真剣に問いかけるが、今の私には無神経な言葉としか思えない。焦がしているのではない。溶かしていたのだ。
 
「こ、焦がしてなどおらぬ。ホットチョコレートだ。飲んで帰るよな?」
鍋を伍長からひったくって牛乳を入れ、がしがしと乱暴にスプーンでかき混ぜる。ちょっと焦げ気味だが、溶かしてしまえば大丈夫だろう。何とか二杯分のチョコレートをマグカップに注ぎ、伍長の前にどんと出す。乱暴なのは仕方がない。顔を出した伍長が悪い。習作を出すなんて大いに不本意なのだから。
 
 
「いただきます」
私の不機嫌な空気を悟ってか、おどおどと伍長がカップに手を伸ばす。伍長が持つと人形遊びの茶碗のようだ。やはり大きなカップを用意すべきか?帝都中を探してもそんなもの売っていないだろう。いっそ誂えるか?
 
 
「飲まないんですか?」
「あ、いや、ちょっと考え事を」
「おいしいですよ」
「うまいか?」
「おいしいですよ。チョコレートって飲んでも美味いんですね」
「気に入ったか?なら、今度また」
ほめられるとは思わなかったので、つい口が軽くなる。伍長がうれしそうに言葉を重ねる。
 
「ありがとうございます。なら…今度、報告書で困ったときに…お願いしても…いいでしょうか?」
「かまわぬ」
 
即答したものの照れくさくなって、勢いよくカップの中身を飲み干し、伍長の分も受け取って流しに向かう。あわてる伍長など放っておけばよい。
 
果たして、次の伍長の報告書当番は2月14日に回ってくるだろうか?
冷たい水に手をさらしながら前の鏡を見ると、そこにはご機嫌な自分がいた。


*********************************************************************
お屋敷暮らしは何かと大変シリーズ第一弾。
甘いもの食べるとなぜか自分は機嫌が治ります。ちびっとだけ。

拍手[3回]

PR
Comments
Post a Comment
Name :
Title :
E-mail :
URL :
Comments :
Pass :   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
TrackBack URL
TrackBacks
カレンダー
06 2025/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
カウンター
プロフィール
HN:
haruha(ハルハ)
性別:
女性
自己紹介:



ここはリンクフリーです。
オンラインブックマークはご遠慮ください。

修練中
http://haruhax.kenkenpa.net/
管理人 ハルハ

修練中バナー

連絡等は下のメールフォームをどうぞ。

since 2007.03.07

Just in case
フリーエリア
Template by mavericyard*
Powered by "Samurai Factory"
忍者ブログ [PR]