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独り言置き場を兼ねた『パ/ン/プ/キ/ン/シ/ザ/ー/ズ』の個人的ファンサイトです。二次創作がありますので悪しからず。
Posted by - 2025.07.21,Mon
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Posted by haruha(ハルハ) - 2007.10.21,Sun
思い切りって大事だよな~と金曜日に後輩君と結論したので、さっそく実践。


自分はあんまりいい読者ではないので、
コミックの人物紹介を読まないことなんて日常のことなので、
つい最近気がつきました。

人物紹介の文章が微妙に変わっていることに。


「同情的」 → 「肩入れ気味」

気がついたのはウェブナーだけですが、他にもあるかもしれません。


で、なぜ彼女は組織内でどうみても半端モノの3課に
肩入れ気味なんだろうと思ったわけです。
マーチスを気に入ってるだけではなさそうなのはガチっぽい・w
もさもさ考えてたら長文になってしまいました。


そんなのでもOKという方は、どうぞ。
ネタバレ要素は多分ないです。

In library

薄暗い空間にそびえ立つ書架。
びっしりと差し込まれた無数の厚い本。
よどんだ空気と鼻を突く古びたものの匂い。
慣れない空気に頭がぼんやりする。
おおよそ昼下がりに訪れるような場所ではない。
 
ここは帝立図書館。
国内を流通するあらゆる印刷物が集まっているといわれるこの場所は、
許可を得た者だけが入庫を許されている。
 
水道局事件で押収した自動小銃について調べたいという
ウェブナーに無理やり引っ張り出されたのはいいが、
明らかに場違いな気がしていたたまれない。
 
わざわざ休日に呼び出されたこと、「私服で」と念を押されていたこと、
受付で自分のことを工科学校の「学生」と紹介していたこと。
頭の中は胡散臭さと後ろめたさでいっぱいだ。
なるべく嘘はつきたくない。
威圧感をはらんだ空気が、落ち着かない気分をさらに助長する。
 
そんな自分のことなど気もとめず、前を行く人の足取りは軽い。
勝手知ったる古巣といったところか。
受付でのやり取りから察するに、
どうやら学生時代にひんぱんに出入りしていたらしい。
 
 
「……論文の冒頭には必ず要約とキーワードが載っている。
このリストにある言葉が載ってるものをピックアップしてほしい。
帝國人の論文は後回しね」
 
物理のコーナーにつくや否や差し出されたリストには、
西方諸国連盟(ネビュロ)内の言語で物理関係の専門用語がぎっしり書かれていた。
どれも似たりよったりだから、単語を追うくらいなら何とかなるだろう。
なるべく早く済ませてここから出たい。
 
棚の上のものから見ていこうと傍の梯子に手をかけたものの、足が進まない。
引っかかることが多すぎる。
 
いったい、なぜこんなところへ?

 
「軍の資料室じゃだめなんですか?」
早くも一冊目に目を落とし始めた背中に向けて、
当たり障りのないことから尋ねてみる。
 
「あそこにあるのは軍事に関連するものだけ。
兵器ってのは、多くの研究成果の集まりだから」
「軍事関連の文献では足りないんですね」
「うん。たとえばあんたが普段乗り回してる車。
あれだってもとはといえばエンジンを開発したやつがいて、
その前にはエンジンが動く原理を発明した科学者がいる。
ネビュロのあらゆる弾があわなかった銃の出所なんて、
原理のレベルから探さないと」
 
 
「それにしてもどうして帝國人は最後なんですか?」
「長いこと戦争してたから、帝國の物理研究なんて戦前レベルでとまってるのさ。
着々と新兵器が実践配備されるのは、ネビュロのおかげ」
「それじゃぁ、帝國は単に実験場を提供してたことになりますよ」
「そうやって帝國とネビュロの技術は進歩してきた」
 
「兵器局のかたくななプライドがよくそんなことを許しましたね」
「プライドは共和国に向けられたもの。
ネビュロに向けては尻尾振ってる犬。だからこそ歪と言われてる。
基礎研究はカウプランでやってるけど、
ただでさえ少ない国の資金を医学と工学と化学(バケガク)で取り合いだ。
工学系はやむなく応用科学に特化したってわけ。
提供してくる国だって、自国を汚さず実験できるんだから、
ありがたく思ってるだろうね」
 
 
こともなげに語るので、返答に困る。
いったい、この人は今、どんな表情をしているのだろう。
 
 
「戦争で国内の基幹産業はボロボロ。
停戦から3年たっても回復の兆しがないのは、あんたの方がよく知ってるはずだ。
このまま国を維持したいなら、もう一度戦争するか、
国の体質そのものを変えるかする必要がある。
仮にネビュロを越える技術が共和国から来たものだったら、
今度こそ帝國は完全に焦土になるだろうね」
「そんな……帝國を見限ったようなこと」
「エンジニア(技術屋)は作ったりいじれたら幸せなんだけど、
世の中のニーズや影響力も考慮せざるを得ない。
だから経済学や政治学は基礎教養。
国の行く先が見える、っていうかいやでも目に入るのさ。
ま、あたしの同期はその傾向がちょっと強いんだけど」
 
あ、これはウチのコたちには内緒だよと言いながら、
目前の人物はゆっくりと横に向いて椅子の背に頬杖をつく。
視線が闇を射抜いている。
この人は兵器局でも異端なのかもしれない。
 
 
「驚いたろうね。
あたしは技術屋だから、軍人のように皇帝陛下と国民に忠誠を誓う必要はない。
アンタらとは違うんだよ」
 
 
世界が違う。それなら、どうして軍人の自分に。
思わず質問を重ねてみる。
 
 
「中尉、もうひとつ教えてください」
「どうして僕なんですか?」
「字、読めるから」
「はぐらかさないでくださいよ」
「ストッパー」
「え?」
「技術屋は時に好奇心のままに突っ走るから。
ダメなんだよ。同業者じゃ。
かといって民間人でもまずい。事が大きくなりすぎる」
 
「その点、軍の中でも3課はボーダーな組織だ。
境目にいる分色々見えてるから、ストッパーとして最適なのさ。
なかでもアンタは」「その中にあってもボーダーな存在、ですか」
「陰険なこと、できるだろ?」
 
そう言うと、彼女はまた完全に背を向けてしまった。
すぐそこに座っているのに、重たい空気と闇が遠近感を狂わせて
体ごと飲み込んでいくように見える。
高くとられた天井が、紙をめくる音を几帳面に反響させる。
遠い。
 
 
自分達(3課)の任務は、
人々の毎日を少しでも希望のあるものにすることである。
それは、社会に対する近視眼的な対処に過ぎない。
だが軍の任務は目前の社会秩序を保つことだから、これに不足はない。
 
この人の視界には、もう少し先のことまでが入っている。
先が見えるだけに、
現行の制度にそぐわないことを考えていたりするのだろう。
あるいは、探究心に駆られて、
ふらりと倫理基準を超えてしまうのかもしれない。
ちょうどdoor knockerや不可視の9番を作った人間たちのように。
 
事の次第では自分が制裁を加えなくてはならない日が来るのかもしれない。
 
 
「いやなら。そのまま帰ってくれていい。
入庫記録は工科学校の学生になってるし、
管理してるのはなじみのオッサンだ。
軍人としてのアンタの進退に関わらないようにしてあるよ」
 
 
「僕に引き止め役がつとまるかどうかは、分かりません。
下手をすると、引き寄せちゃうかもしれないし。
場合によっては……引き倒しちゃうかもしれないし」
 
 
背中からボソッと漏れた言葉に驚いてあわてて返す。
すると、ニヤリと口の端に笑みを浮かべたウェブナーが、
ゆっくりと体をこちらに向けてきた。
あの、いつもの、顔だ。
 
「大胆だねぇ。アンタ今、膨大な人間の知を前にしてんだよ。
衆人監視もいいところなのに」
 
彼女にとってはなじみの学者の面々なのだろう。
たしかにそうかもしれない。
だから言ったんだ。そんなにスマートにはできませんって。
 
 
「おもしろい。引き寄せられるならやってごらん」
「お願いだから、あんまり意地悪いこと言わないでください」
「善処する、かな?」


あまりあてにはならない承諾の返事をしっかり耳にはさんで、
もう一度梯子で遮光カーテンの裾の光がちらつく最上部を目指す。


********************* 
長いものにお付き合いありがとうございます。

ミュゼとウェブナーのやさぐれ具合の違いは、
「触れるだけで幸せ」かどうかなんじゃないだろうか思ってます。
科学者の倫理規範って微妙だなぁ。

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