どうにもまとまらないままなのだけどアップ。
本誌の細やかな話の運びを追いかけていたら、
自分のあんなんやこんなんな妄想が恥ずかしくなる。
折りたたみはオリジナルキャラも出てきます。
ほんの味付け程度ですので、安心してください。
カップリング?
強いて言えばオレ×マー ですかね。
でもでもBLじゃぁないですよ。
両手に買い物袋を持って歩いているのに、せり出してきたお腹からの強烈な蹴りを受けて、思わず立ち止まる。まだおさまらなさそうなので、建物に寄りかかって一息つく。男でも女でも、五体満足で産まれてくりゃいいのと口では言う。けれども、たてつづいて女の子が三人もできたら次は男の子であってほしいとこっそり思う。だって、早いうちからませちゃう女の子とちがって、男の子は「小さいうち」は本当にかわいい。なにせ、忙しい親にかわって弟の世話をしてきたから、自信もっていえる。
「主張」がおさまるのを待ってたら、5、6歳くらいの男の子たちがばたばたと道を横切っていった。男の子、いいなぁと思って見てると、一息遅れて走ってた短パンに革靴の子が、案の定マンホールにつまづいて派手に転んだ。自分のことはさておいて思わず手を貸してやると、真っ赤な色白の顔がこちらを向いた。
「大丈夫?」
真っ黒い髪を整えてやると、潤んだ大きな青い瞳がでてきた。ウチの家系からは絶対でてこない黒髪。金髪は、どんなにきれいなプラチナブロンドで生まれてきても、大きくなると色がみっともなく濃くなるだけだ。黒髪の方がずっと潔い。ああ、そういや弟の友達にこんな子がいたっけ。
それにしてもこの子、照れてるんだか、泣くのを我慢してるんだかわからない。ま、頭を打ったわけではないから大丈夫か。あれこれ聞くのもなんだかかわいそうなので、さっと砂を払ってやる。
「……ありがと、おばさん」
「気をつけるんだよ」
「そこのご婦人。手伝いましょう。お荷物、失礼」
男の子が走り去るのを見送ってたら、屈強そうな男にいきなり荷物に手をかけられた。最近よく聞く妊婦狙いのどんくさい泥棒かと見上げたら、自分と似た顔がにっこりと微笑んでいた。
「あんたぁ!」
「元気そうじゃないか、姉さん」
「たまには帰ってきなさいよ」
自分の背をとっくに越した弟はごめんよ、と右手を挙げて微笑む。自分の弟なんだけど、いつの間にかいい男になった。
「覚えてる?マーチス」
かわいい頃をとっくに過ぎた弟は、隣を歩く男の首を腕で引き寄せて言う。
「『灰色アパート』のゼラニウムの部屋」と言われてようやく思い出した。ウチと同じで兄弟の年が離れてて、兄ちゃんのぶかぶかの「お下がり」を着てた子だ。相変わらず本当にひょろっこい。制服のなかで体が泳いでいるみたいだ。
「ああ、『短パン』!」
「お、お久しぶりです。『大姉さん』」
大昔のあだ名を口にされたのが恥ずかしいのか、真っ赤になって下を向く。忘れるわけがない。弟と一緒になって、町で配ってるビラを小さくちぎってアパートの6階から大量の紙ふぶきを撒き散らしたり、つまらないイタズラばかりやってた子だ。あちこちさんざん謝りにいかされたっけ。なにせこの子の親は細かいことで有名な時計職人だったから、「ウチの息子を巻き込むな」と、姉の私がめっちゃくちゃ怒られた。そうそう近所の似たような年の子たちと、大人が処分にこまって捨てたエロブロマイドを森の中まで探しにいって、日が暮れても帰らないからって大騒ぎさせたこともあった。まさか、今もつるんでいるとは。
「軍に入ってまで一緒って、あんたたちもう結婚しちゃえば?」
弟はニヤリとして言った。
「俺はそれも悪くないと思うけど、こっちはお姫様からお嬢様まで引く手あまたでね。横取りでもしようものなら、とばっちりが恐ろしい」
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